弁理士(特許の専門家)の須藤が、以下、個人的な独断に基づき、以下、感想などをお伝えします。
ついに、決着がつきました!
今回、日本の農業のため団結し、みんなが力を尽くした今回の特別編、感動的でしたね。
人の役に立つ、ものづくりをすること、それは大変なことです。
だからこそ、各自に信念のようなものが必ずあることを見せてくれました。
また、それを忘れかけていた人たちにも自分の信念を思い起こさせていました。
だから、よけいに感動が増しましたね!
そこで、今回は、
- 各自の名言
- 気になった小道具、用語、人物
- ライセンス許諾
について説明あるいは記載し、下町ロケットの魅力に迫りたいと思います!
あらすじ
TBSのサイトに記載されている内容をそのまま、以下に記載します。
全員の力を結集し、ようやく完成した佃製作所と帝国重工の無人トラクター「ランドクロウ」。しかし、発売から数週間経ったあとも売り上げが伸びずにいた。一方、ギアゴースト&ダイダロスが手掛ける「ダーウィン」は好調そのもので、差は開くばかり。形勢逆転を狙う帝国重工の次期社?候補・的場(神田正輝)は、ある手段に出る。それは、ダーウィンチームに力を貸し、なおかつ帝国重工の取引先である下請け企業に圧力をかけるというものだった。それにより、徐々にダーウィンチームから離脱企業が増え、ついにはダーウィンの在庫が底をつく。思わぬ形でライバルの勢いを止めた佃(阿部寛)ら佃製作所のメンバーだったが、自分たちの技術力による正当な評価ではないため、心境は複雑なものだった。逆に、窮地に立たされた重田(古舘伊知郎)と伊丹(尾上菊之助)は思わぬ一手を放ち・・・。
引用元:日曜劇場 下町ロケット あらすじ
各自の名言
今回は、数ある名言のうち、心に残った言葉を以下に示します。
ライバルをつぶす!強い帝国重工を取り戻す!
この言葉は、的場が言った言葉でした。
しかし、それは、
「下請け企業の協力があってのもの」
です。
的場は、会長からせまられ、奥沢に命じて、ダーウィンプロジェクトに協力する下請け企業に圧力をかけました。
それは、
「ダーウィンプロジェクトで多忙のようなので、依頼を見直そうと思いますが・・・」
といった主旨の言葉でした。
このような下請けをいじめる行為は、佃社長が言っていたように、
「気分がいいものではない。顔に泥を塗られた形」
でした。
中川(ダイダロス法律顧問)の対処により、公正取引委員会に下請法違反の話を持っていき、的場は、結果的に辞任してしまいました。
記者会見で、的場は一応謝罪していましたが、今後の人生ではぜひ心から改心してもらいたいと思いました。
ちなみに、実際に、下請法違反を、公正取引委員会に話を持っていくと、相手企業に是正勧告がいくのですが、その内容(企業名と是正内容)は公開されることとなるようです。
このため、対象の企業は、作中であったように、マスコミにたたかれることとなり、結果的に社会的制裁を受けることとなります。
私も、あるクライアントから、特許侵害事件関連で相談があり、このような対応の検討だけはした経緯があります。
保険が効くので、大丈夫です!
これは、台風の進路が変わり、燕市を台風が通ることを知って、稲に被害が出ることを理解した稲本が稲を刈ろうと焦っていたときに、吉井が言った言葉でした。
すごくピントのずれた言葉でした。
そして、この言葉、まさにお米というものづくりをする人とそうでない人との違いを明確に表していましたね。
ものづくりにはノウハウが必要ですが、ノウハウはお金からでなく経験から蓄積されます。
ものづくりに限らず、経験は大切にしていきたいですね。
あれは俺の命だ!
これは、稲に被害が出ることを理解した稲本が稲を全部刈り取れないことに絶望して言った言葉でした。
このような稲本の態度で、殿村を始め、佃チームの協力を仰ぐことが可能となったのでしたね。
稲本の性格はお世辞にも良いとは言えないのですが、農業法人自体は良いシステムで今後の日本の農業が生き残るには有力な形態であろうと思います。
ただ、正直なところ、稲本にこんな感情が残っていたのか?と思ってしまいましたが・・・。
まあ、最後には、ランドクロウを購入して使用していましたので、許してあげましょう(笑)。
これが、ある意味、佃チームのランドクロウの販売数の大逆転を象徴しているのだと思います。
まだか・・・
これは、佃社長の要請を受けて、財前が独断で、燕市に無人コンバインキャラバンを向かわせた際に、水原が言った言葉でした。
この前に、財前が、水原に報告した際に、
「勝手なことをして・・・・」、
といった趣旨の否定的な発言をしていました。
しかし、そのあと、
「責任者はお前だ!お前の判断に任せる!」
と伝えました。
しびれるぐらいいい言葉でした。
そして、そのあと、キャラバンが到着しない状態に心配になり、上記の言葉を発したのでした。
帝国重工の隠れいい人、水原、最終回もいいところを持っていきました(笑)。
同じ農家の仲間だから・・・ 今の俺がいる!
これは、殿村のお父さんが、稲本の要請に応えた件について、
「なんで助けてやった?」
という問いに対して、殿村が
「見捨てるの簡単だ。ただ、農家を見捨てるのと同じ」
に続いて言った言葉でした。
大きな目標があると、敵も味方もない良い例でしたね。
殿村親子、とてもいい表情でした!
ヤタガラスの精神によるもの!平等に使える!
これは、財前が、懲罰会議で、勝手に無人コンバインキャラバンを燕市のダーウィンのお客に使用し、かつライバル会社に対して佃製作所の特許のライセンス許諾(後述)の伺いをした際に発した言葉でした。
これほどに社内政治に正々堂々と立ち向かう財前は、正義の味方、とてもかっこいいですね。
確かに、ヤタガラスからの信号(GPS信号)は誰でも利用できます。
このため、一理はあるものの、現実的には、財前の言葉には無理攻めの感がありました。
自分でも、説得することかなり困難とわかっていたので、辞表まで用意していたのですね。
しかし、藤間社長の裁きは素晴らしかったです。
我々は何を作っている?心だ!心を作っている。
これは、懲罰会議で、財前のライセンス許諾のお願いがなされた際に、発した言葉でした。
この言葉に続く言葉を以下に記載します。
「我々は、下請けがその力を発揮できる環境を作っている。
まちがいはない。
日本の未来のために力になってやれ!」
そして、財前に、
「なんでも通ると思うな!危なかったぞ。」
と言って、辞表を破くのでした。
こんな社長がいたら、社内だけでなく、社外からもファンが殺到しそうです。
今回も、いい意味で「南町奉行所の裁き」でした(笑)。
佃、日本の農業は救えたか?
これは、野木教授が、佃達が稲本の田んぼの稲刈りを終えた後に、言った言葉でした。
野木教授の嬉しそうな表情がとても印象的で、佃社長の悩みに対して背中を押してあげた言葉だったのではと思いました。
たぶん、野木教授は、これまで帝国重工とキーシンとの付き合いを経験したことで、佃社長の悩みが手に取るように理解できたのでしょうね。
佃さん、安くていいエンジンを作ってみせますよ。
これは、佃社長がダーウィン製造中止発表の場でライセンス供与することを伝えた後、佃社長が去っていこうとしたときに、ダイダロスの重田社長が発した言葉でした。
この言葉と、そのあとに、佃社長に後で後悔させる、といった内容を佃社長に言っていたので、
こいつは懲りない奴だ・・・
と、私は思いました。
しかし、佃が去っていく後を、深々と頭を下げ、
「ありがとうございました・・・」
と言っているのを聞いて、希望を感じました。
重田社長は、これまでは2000人の従業員を路頭に迷わせたことの経験を、的場への恨みのエネルギーとしていました。
しかし、これからは、それをものづくりのエネルギーにしてもらえるかなと思いました。
ぜひ、頑張っていい経営者として日本を引っ張っていってほしいと思いました。
下町の心意気ってやつなんだな!
これは、佃社長がダーウィン製造中止発表の場でライセンス供与することを伝えたあと、伊丹社長が島津が出てきた際に言った言葉でした。
そのあと、
「長いこと忘れていた。なんで忘れていたんだ」
とも言っていました。
(ちょっと、突っ込みをしたい感じでした。)
伊丹は、やはり自分が帝国重工を追い出された経験から、従業員を守る意識は高かったですね。
それは、佃製作所のトランスミッションをリバースエンジニアリングした際にも、氷室の言い逃れに対して、
「あんたは黙ってろ!会社の命運がかかっている!」
と叫んでいました。
また、何度も何度も佃製作所に足を運んでもいましたしね。
良い経営者になってほしいと思います。
日本の農業を救うことです!
これは、佃社長がダーウィン製造中止発表の場でライセンス供与することを伝えた際に言った言葉です。
佃社長自身にはいろいろ印象的な言葉があり、どれも人が良すぎて、しかも人を元気にしてくれます。
しかし、この言葉がここまでの話の主題です。
そして、佃社長が強く願っており、それにより、いろいろな人が巻き込まれ、ここまで大きな流れを作ってきたと思います。
これからも、佃社長には、その熱い気持ちで、日本の未来を作っていってもらいたいと思います。
ロケットってやっぱりすごい!
これは、最後のシーンで、ロケットを打ち上げた際に、立花と島津が言った言葉でした。
私は、生でロケット発射するのを見たことはありません。
しかし、最初のスペースシャトルの打ち上げ時にはテレビにかじりついて、
「これからは宇宙が身近になる」
と興奮していたことを覚えています。
そんな興奮を、ものづくりに生かしていきたいですね。
気になった小道具、用語、人物
中川弁護士?
この期に及んで、ダイダロスの法律顧問で中川弁護士が出てくるとは思いませんでした。
確かに、逮捕されてから1年以上は経過しているはずなので、刑期から考えて、出所していたのは当然だったと思われます。
弁護士資格の剥奪がされたのでは?
という疑念は残りますね。
ちなみに、公正取引委員会への相談は別に悪いことではないので、下請法に抵触して迷惑を感じているようなら、選択肢として検討してみてください。
大福とおにぎり
なぜか、社長室で食べているのが大福。
名前もいいのでゲン担ぎでしょうかね?
(おいしそうです)
おにぎりは、お米のおいしさを伝えるのに、塩むすびです。
塩むすびは、単純な分、お米の甘さを十二分に引き出しますね。
(なんか食べたくなりますね)
カーリング
今回は、北海道でのほっこりタイムとして、ボーリングの代わりにカーリングなのだと思います。
ボーリングもカーリングも、人が相手でなく物が相手です。
なので、理論的に行え成果が出るということでは、エンジニアには相性が合うのかもしれません(笑)。
スペースV
佃利菜の修行先?です。これは完全に、スペースXを指していますね。
リユーザブルということでは、多くの人がわかる企業だと思います。
是非、お父さんの超えるエンジニアとなり、佃製作所に入ってもらいたいですね(笑)。
リコール
この言葉は、ダーウィンのトランスミッションの不具合をどうするのかを議論していた際に、出てきた言葉です。
作中でも言っていましたが、リコールは修理して直すことが目的ですので、不具合が特定でき、それを修理できる必要があります。
ギヤゴーストは原因を突き止めることすらできなかったようなので、ぜひ佃製作所には、しっかりとライセンス料と指導料とを取ってもらいたいと思います。
ライセンスの許諾
なぜ、ダーウィンは佃製作所からライセンス許諾を受ける必要があるのか?
その理由は、以下の3つの点があるからと思います。
- 不具合の原因がわからない
- 不具合の原因を調べる人材がいない
- 不具合対応をする時間がない
不具合の原因がわからない
作中でもあったように、ギヤゴーストには原因がわからない状態です。
このため、特許を考えようとしても対策が見えないので、特許を出そうにもそのアイデアさえ出せない状態なのです。
不具合の原因を調べる人材がいない
天才といわれた島津が自ら設計してよく知っているにも関わらず、苦労して原因を見つけたのです(第10話参照)。
このため、他人の設計したトランスミッションで、かつ島津を超える技術者でなければ、原因を突き止めることは不可能かもしれません。
不具合対応をする時間がない
ダーウィンは、発売後1か月で617台を販売していました。
このため、すぐにでも修理しないと、悪評だけが増加してしまい、事業が成り立たなくなります。
逆に、教訓として、不完全な状態で販売してしまうと大変なことになってしまうのですね。
当然ですが、ダーウィン側は、ライセンス特許を使用することに切り替えるとしたら、お客様にはしっかりとその理由を伝える必要があります。
佃社長、ちゃんとやってくださいね。
佃製作所の特許権は成立している必要があるのか?
成立していることが望ましいです。
しかし、出願中でもライセンス契約は可能です。
もちろん、権利化されることが前提となります。
でないと、あとでトラブルのもとになる可能性があります。
なお、この場合には、ギヤゴーストは、特許公報(特許の内容が記載されている特許庁が発行する文書)だけを見て、実施することは不可能と思われます。
このため、ライセンス料とは別に、指導料やノウハウ料なども佃製作所は得ることができると思います。
なお、実際にライバル会社にライセンスする際には、十分気を付けてください。
ご要望があれば、相談に乗りますので(笑)。
なぜ、ライセンスの許諾について、帝国重工の了解が必要なのか?
今までの経緯から、佃製作所のトランスミッションは、佃製作所のオリジナルであると思います。
つまり、帝国重工は単に佃製作所の製品を買っているだけなので、佃製作所は基本的に帝国重工の許諾を必要としないと思います。
しかし、佃製作所が取引契約上、ギアゴーストのトランスミッションの不具合を解消したトランスミッションであることをキャッチコピーとして、ライセンス許諾の際には、帝国重工の許諾が必要としている可能性があります。
今回は、このような条項が付いたものであるのかもしれません。
ただ、このような条項があるとすると、もしかしたら下請法違反の可能性があるかも・・です。
ちょっと、疑問が残りますね・・・
まとめ
今回は、以下の気になる点について、個人的な経験と知識とから書かせていただきました。
- 各自の名言
ライバルをつぶす!強い帝国重工を取り戻す!
保険が効くので、大丈夫です!
あれは俺の命だ!
まだか・・・
同じ農家の仲間だから・・・ 今の俺がいる!
ヤタガラスの精神によるもの!平等に使える!
我々は何を作っている?心だ!心を作っている。
佃、日本の農業は救えたか?
佃さん、安くていいエンジンを作ってみせますよ。
下町の心意気ってやつなんだな!
日本の農業を救うことです!
ロケットってやっぱりすごい! - 気になった小道具、用語、人物
中川弁護士?
大福とおにぎり
カーリング
スペースV
リコール - ライセンス許諾
なぜ、ダーウィンは佃製作所からライセンス許諾を受ける必要があるのか?
佃製作所の特許権は成立している必要があるのか?
なぜ、ライセンスの許諾について、帝国重工の了解が必要なのか?
ついに、下町ロケット、ゴースト編、ヤタガラス編終了となりました。
これで、下町ロケット(ゴースト、ヤタガラス)のブログ完結です。
これまで、お付き合いいただき、本当にありがとうございました。
今後は、佃チームを影なら応援していきたいと思います。
そして、ロケットってやっぱりすごい!
の興奮を忘れずに、今後は他のテーマについてアップしていきたいと思います。
今後ともよろしくお願いします。
もし、わからない部分や疑問点などありましたら、ぜひコメントまたはお問い合わせください。
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