【スタッフ視点の知財ブログ(1)】
流行りの言葉・商品は、流行っている間は、誰もが違和感なく、
その言葉の意味や呼び名や商品になじむことができます。
このため、その流行りの言葉・商品を使用すれば、
ブランド力をアップさせることができそうです。
しかし、
そんな流行りの言葉をどのように使用すればいいのでしょうか?
間違った使用で逆に信用を失ってしまうかも?と迷っていませんか?
そこで今回は、
流行りの言葉・商品を、商標権として活用してみたい方に対して、
スタッフNさんに、具体的な流行りの商品の実情を探ってもらい、
それに基づいて、流行りの言葉・商品を、商標権としてどのように活用できるのかについて説明していきます。
これを読むことで、流行りの言葉・商品に対する商標権の活用の可能性について
- 流行りの言葉は、別のサービスに結び付けることで、権利取得が可能なこと、
- あくまでも先に出願した者が商標権取得が可能で、流行らせたこと自体が権利取得に無関係なこと、
- 流行りの商品は、必ずしも商標権を取る必要はないこと、
- 流行りの商品を流行らせた者ほど、ブランド力を有すること、
が理解できるようになります。
これらのことが理解できるようになることで、流行りの言葉・商品が出た場合に、その流行りに踊らされることを防止し、流行りの時流をうまく利用することができます。
少しでも知財の力を活用していただければ幸いです。
具体的な流行りの言葉・商品は・・・・
空前のタピオカブームですね。
事務所の周辺にもこの半年以内に続々とタピオカ専門店がオープンしてます。
ファーストフード店やコンビニまでこぞってタピオカ、
代々木駅周辺ですれ違う若者の手にはタピオカ。
タピオカを家で茹でて作ろうと買いにいくと売り切れ。
SNS上ではタピオカを飲む活動=タピ活なる言葉が溢れています。
今までいろんなお店でタピりましたが、私(スタッフN)の中で断トツ1位は「幸福堂」。
本場台湾でも現地の方々が唯一行列していた台湾1番人気店。
ここのタピオカは店先で黒糖で炙った他では味わえない出来たてモチモチのタピオカが堪能できます。
昨年台湾で幸福堂のタピオカに感動してから
日本上陸をずーっとずーっと待ち望んでいました。
そして、ついに今月20日に原宿にオープン‼️
早速昼休みに行ってきました。
が、、夏休み、、の原宿竹下通り。。
読みが甘かった。。
到着した時に既に前には20人程の行列・・。
まだオープンしたてで認知度も高くないからとたかをくくっていました。
ガーン・・・断念。。
当初は5月オープン予定だったので、6月にもフライング来店したため、
2回のトライで2回ともタピオカにはありつけず。
夏休み後にまたリベンジ来店果たします!!
(タピオカに700円、、お高い。。台湾では同じものが200円くらいだった記憶が。。
but..幸福堂のタピオカならお高くてもタピる価値ありです!)
流行りの言葉・商品を、商標権として活用する際の注意点の説明
流行りの言葉の商標登録の可能性
スタッフN:くやしー。
台湾では有名だったけど、日本の一号店に2回も足を運んでゲットできないなんて!
弁理士須藤:出店の一号店で話題を取ろうとするのは、繁盛店を作るのに常套手段だよね。
やはり、原宿竹下通りに一号店だから、出店前にも結構宣伝していたのだろうね。
・・・
まあ、楽しみが増幅してよかったのではないの?
スタッフN:うーん、でも悔しいですね。
あの幸福堂のタピオカを考えたら、他のタピオカをタピりたくない・・・・
ちなみに、タピ活とかタピるとかは、タピオカを提供するサービスに対して商標出願して権利を取れる可能性はあるのですか?
弁理士須藤:そうだね、その可能性を左右する要件は、大きく分けて以下の2つだね。
- 商標権として、出願されていないこと、
- その名称がその商品・サービスに慣用的に使用されておらず、一般化していないこと、
この点からすると、1については現時点で権利化されていないので、商標を取れる可能性があるよ。
しかし、タピオカ入りミルクティを飲むとかの意味で、タピ活とかタピるとか、ネットで検索して複数がヒットする状態だね。
このため、2の要件を満たせず、権利化できないと思うよ。
・・・
ただ、タピ活とかタピるを、まったく別のサービスに結びつければ可能性は残るね。
流行りの商品で一番人気店の商標登録の可能性は??
スタッフN:そうなんですか
・・・・
ちなみに、タピオカのお勧めは、なんといっても、幸福堂!
で、幸福堂は日本で商標とることができるのですよね?
だって、幸福堂は、タピオカに対しては、本場台湾では一番の人気なので、
幸福堂が商標権を取得できないとなると不公平ですよね。
弁理士須藤:ちょっと調べてみるよ。
・・・
うーん、現時点で、「幸福堂」でタピオカミルクティーが商標登録はされていないね。
ただ、「コウフクドウ」と読める商標:商品としてアイスクリームが権利(権利A)として存在するね。
つまり、「幸福堂」という商標と、商品であるタピオカ入りミルクティが、その権利Aと同一ではないが類似していると判断できると思う。
だから、その権利Aに先に出願した優位性(先願主義)があるように思われる。
このため、幸福堂は、先願主義の元では、先願しているわけではないと判断でき、「幸福堂」でタピオカ入りミルクティで権利化するのは難しいかもしれないね。
ただ、幸福堂はタピオカ入りミルクティで有名と思えるので、権利Aの権利者も「幸福堂」でタピオカ入りミルクティについては権利を主張するのは難しいかもしれないね。
そして、日本でも、幸福堂がタピオカ入りミルクティについて有名であるようなので、権利Aの権利者と出所が混同するおそれがないともいえる。
このため、幸福堂には、これから出願しても、権利化できる可能性が残っているかもしれないね。
いずれにしても、幸福堂は日本国内で事業を大きくやろうと思っていると推測できる。
このため、幸福堂は、ブランド確立のために、商標権取得の可能性がある限り、いくつかパターンで出願をしておくことが大切だと思うよ。
流行りの商品の商標権は取得すべき??
なお、流行りの商品は、直ぐにすたれるので、何が何でも商標権を取るべきとはいわない。
商標を出願して、通常権利化まで平均9か月(2019年8月)なので、流行りの商品は流行りを終えているかもしれないので。
けど、タピオカは過去にも日本では流行ったし、タピオカは日本の食文化に定着しているよね。
だから、これを機会に、幸福堂には是非ちゃんとした商標権を取得しておいてほしいね。
スタッフN:なるほど・・・。
理屈は難しくてよくわからないけど、
もともと使用して有名にした人の商標が守られることは、とてもよいですね。
・・・安心しました。
弁理士須藤:そうだね。
自分で使用しているものが勝手に使用されるのは世界どこの国でも同じようにいやだろうから、このような考えは公平といえるよね。
でも安心したってほどではないのでは??
スタッフN:だって、やっと苦労して幸福堂のタピオカを買ったと思ったら、
実は偽物だった!なんていやですよ!
だって、もう2回もお預けをくらったのですから!
それなりに値段もするし、本物だからあの値段を払う価値があるんですよ!
弁理士須藤:はいはい。
じゃ今度は、夏休み後、開店前から並んでしっかりタピってきて下さいね。
まとめ
- 流行りの言葉は、まったく別のサービスに結び付けることで、権利取得が可能。
なお、商標出願していなくても、その商品に慣用的に使用されたり、一般的に使用されている語句については商標権を取ることは困難。 - 流行りの言葉・商品について一番有名にした者であっても、先に出願しなければ、原則、商標権を取得できない。
ただし、出所が混同しないならば類似しているとは言い難い場合があり、商標権を取得できる可能性が残る。 - 流行りの商品は一過性であり、必ずしも商標権を取る必要はない。
ただ、国内で定着しそうな商品で、国内で大きく事業を展開できる可能性が大きいならば、ブランド確立のために、積極的に商標権取得にチャレンジすべし! - 流行りの商品を流行らせた者ほど、ブランド力を有する。
もし、わからない部分や疑問点などありましたら、お気軽にぜひコメントまたはお問い合わせくださいね。
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