「下町ロケット 第10話」を特許の観点で噛みしめる?

下町ロケット第10話

弁理士(特許の専門家)の須藤が、以下、個人的な独断に基づき、以下、感想などをお伝えします。

今回、ついに、島津が佃製作所に入社しました。
更に、殿村家も無人農業ロボットのための実験農場を提供してくれることになりました。
まさしく、佃チームがついに終結し、最終回の逆転劇が楽しみになってきました。

そこで、今回は、

  • 気になる言葉
  • 殿村家の米は、守れる?
  • 島津の佃製作所の入社で問題は起きる?

について説明あるいは記載し、下町ロケットの魅力に迫りたいと思います!

あらすじ

TBSのサイトに記載されている内容をそのまま、以下に記載します。

財前(吉川晃司)から再び無人農業ロボットのエンジンとトランスミッションの供給を頼まれた佃製作所。悩む佃(阿部寛)だが、社員の中には、失敗の許されないこの挑戦に後ろ向きの者たちもいた。今までのノウハウを生かし、エンジンには絶対の自信があるが、問題はやはり経験不足の感が否めないトランスミッション……。

そこで佃は、大学講師のアルバイトとして働く島津(イモトアヤコ)のもとを訪れ、改めて一緒に仕事をしないかと誘う。 悩む島津だったが、立て続けに伊丹(尾上菊之助)が訪れてきて……。

引用元:日曜劇場 下町ロケット あらすじ

気になる言葉

下町ロケット第10話キーワード

野暮ったい

この言葉は、軽部がこれまで頻繁に立花に対して投げかけていた言葉でした。
この言葉、人を馬鹿にした悪い意味でしか聞けませんでした。
しかし、今回は、逆に、軽部一人、誰もいない実験室で真剣に応答性能を検証しているのを、
立花が見て、軽部に対して使いました。
「野暮ったいよ!あの人」
このシーンは、山崎が、軽部の家庭の事情を話し、軽部に対して
「プライドを持って仕事をしているエンジニアだ!」
といった話を、立花に言った直後のことでした。

悪口ですが、とても、愛情のある、ほっこりとした言葉に響きました。
と思うと、今までの軽部の立花に対して言っていた内容も同じ意味?だったのかもしれませんね。

場面は、異なるものの、佃社長が島津を説得で会いに行った際に動画を渡すのですが、
その際に佃社長は、島津に対して、プライドを持って、
武骨に一歩一歩進んでいます
と告げています。

この野暮ったいの言葉に、そんな意味が含められるのかもしれないなと思いました。

ボーリング

今回も、ボーリングの場面がでました。
それは、島津と軽部との間のわだかまりが「かるちゃんーしまちゃん」で払しょくされたあとした。
そして、今回は、財前も1投だけ参加して、それでストライクを取っていました(佃社長や立花たちの表情が面白かったですね)。
今回のボーリングでの主役は、迫田と財前でしたが、ボーリングというスポーツを用いることで各人の個性(感性やこだわり)を出して、よく一体感を醸し出していたと感じました。

皆さんも、同僚とは、会社内だけの付き合いだけでなく、たまにはボーリングでの付き合いもよいかもしれませんよ。

カリフォルニア工業大学

島津は、大学の講師でいる際に、カリフォルニア工業大学からの招待が来ていました。
その招待を蹴って、島津は「人に役に立つ」ために佃製作に入社します。

ところで、皆さんは
「カリフォルニア工業大学って、どんなとこ?」
という感じだと思います。
たぶん、それはカリフォルニア工科大学(Caltech)のことだろうと思います。
規模は小さいのですが、MITと並ぶほどの優秀な理系の大学です。
(つまり、ここでは、島津が世界的に将来性のある研究職場を蹴ったということです。)
カリフォルニアのパサデナには、ロケットで有名なNASAの研究所であるジェット推進研究所(JPL)があります。
Caltechは、そのJPLと言わばある程度一体運営されており、共同開発やJPLの契約をも担当しています。

私も、メーカ勤務時代に、共同開発のために訪問したことがあります(笑)。
(CaltechとJPLを知りたい方はこちら)

自然を相手にする運命

この言葉は、殿村のお父さんが、大雨による被害が迫る中、お米に対して諦め切れない殿村に対して、
せめて無事を祈れ。なるようにしかならねー。」
といった際に、出た言葉でした。
佃社長は、
「人は自然災害には無力だ」
といっていましたが、その通りで、自分が生き残ることを最優先することが大切ですね。

農業などの自然を相手にする人は、自然災害に対する感覚が研ぎ澄まされています。
ですが、つい、技術の発達で技術を過信して、「自分は大丈夫!」と思いこむこともあります。
自然災害に対しては、謙虚な気持ちを持ち続けないといけないのでしょうね。

この自然災害などの情報にこそ、特に、IOTやAIなどの技術がもっと展開されたらと思います。

お互いに対等だからいい!

この言葉は、佃社長が島津に対して、入社してくれたことを感謝している際に、島津から言われた言葉でした。
佃社長は、島津のこの言葉を聞いて、今一度、殿村家に出向きました。
そして、自分や財前の想いである
「この国が抱えている農業の問題を解決し、農業を全力を尽くして守りたい!」
を伝えました。
これにより、殿村のお父さんから、
「うちの田んぼで米作りを救ってください!」
と逆に、お願いされました。
お互いの想いがぶつかり合った感動的なシーンでした。

喜びも分かち合うけど、リスクも分かち合うという関係、それこそがチームですね。

殿村家の米は、守れる?

下町ロケット第10話お米

農林協の吉井から、今回は
「ブランドはいつまで守れる?」
「態度を改めたらどうです?」
「殿村家の米、やめたらどうです?」
と言われました。

また、農業法人の稲本から、大雨の災害のあと、
「おまえが、農業法人を断ってくれて助かった!」
言われました。

殿村家の米が守れるかどうかは、当然、殿村の行動次第です。
殿村は、会社員を辞めて、今回も佃社長の誘いも断りました。
貫く抜く姿勢がりっぱですね。
だから、これからも、殿村は、「殿村家の米」を守っていくことができるでしょう。

勿論、「殿村家の米」は、登録していないようであれば、商標登録可能です。
吉井や稲本からの嫌がらせを、強力に跳ね返すためにも是非、商標登録をお勧めします。
商標権侵害で勝訴すれば、場合により彼らの行為を差し止めでき、損害賠償も請求できますので。
嫌がらせの内容にもよることではありますが。

殿村さん、いつでも、ご相談に乗りますよ(笑)。

島津の佃製作所の入社で、問題は起きる?

下町ロケット第10話転職

島津は、佃製作所に入社する前に、ギヤゴーストに勤め、そして、トランスミッションの開発をしていました。
そして、退社後に、短期間だけ、大学講師をしていました
(このため、大学講師の期間では発明がなされなかったと思われます)。

つまり、島津のトランスミッションのアイデアはギヤゴーストに在籍したときに培われたと思われます。

すると、問題が起きそうな、次のパターンが想定できます(一例です)。

  • パターン1:島津は、ギヤゴーストに在籍時のアイデアをギヤゴーストで出願せずに、佃製作所で特許出願した。
  • パターン2:島津は、ギヤゴーストに在籍時のアイデアをギヤゴーストで全て出願した。そして一部が開示されている。佃製作所での特許出願は、ギヤゴーストのときの知識と佃製作所での開発に基づく。
  • パターン3:島津は、ギヤゴーストに在籍時のアイデアをギヤゴーストで全て出願した。そして全てが開示されている。佃製作所での特許出願は、ギヤゴーストのときの知識と佃製作所での開発に基づく。

パターン1の場合

最悪、佃製作所はその特許出願の内容を実施できない場合もあります。
同時に、その特許出願の内容は、少なくともギヤゴーストでも実施することができるようになります。
さらに、島津が意図的にギヤゴーストから営業秘密などを佃製作所に漏らしたら、不正競争防止法違反で刑罰対象とされてしまう可能性も出てきてしまいます。

まあ、この場合には、そのような営業情報の漏えいはないと考えらます。

パターン2の場合

最悪は、開示されていない特許出願の情報を佃製作所が利用することで、ギヤゴーストに損害が生じるような場合には、裁判となる可能性があります。

パターン3の場合

この場合には、佃製作所は、ギヤゴーストから法的には文句はつけられないと思われます。

いずれにしても、島津が退職時に、ちゃんとギヤゴーストを契約をしておくことが大切です。
このあたりのところ、もし心配なら、退職者とのトラブルを避けるために、
是非専門家(弁護士や弁理士)と相談してください。

そうそう、ギヤゴーストのトランスミッションの開発は、ほとんどを島津が手掛けたと思われます。
このため、島津には、退職後の現在でも、ギヤゴーストからがっぽりと発明報奨金をもらってもらいたいですね(笑)。

まとめ

今回は、以下の気になる点について、個人的な経験と知識とから書かせていただきました。

  • 気になる言葉
    野暮ったい
    ボーリング
    カリフォルニア工業大学
    自然を相手にする運命
    お互いに対等だからいい!
  • 殿村家の米は、守れる?
  • 島津の佃製作所の入社で問題は起きる?
    パターン1の場合
    パターン2の場合
    パターン3の場合

来週はいよいよ最終話です。
佃チームの活躍に期待しましょう。

もし、わからない部分や疑問点などありましたら、ぜひコメントまたはお問い合わせください。

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