弁理士(特許の専門家)の須藤が、以下、個人的な独断に基づき、以下、感想などをお伝えします。
ついに、最終回となりました!
今回、すべての問題がすっきりと解決したわけではありませんでした。
しかし、佃製作所はトランスミッションにも第三者からお墨付きを得て、ついに念願のトランスミッションメーカとして、一歩を踏み出せました。
とてもよかったですね。
そこで、今回は、
- 気になる言葉
- 性能評価
- 特許申請する!
について説明あるいは記載し、下町ロケットの魅力に迫りたいと思います!
あらすじ
TBSのサイトに記載されている内容をそのまま、以下に記載します。
佃(阿部寛)と財前(吉川晃司)から、日本の農業の未来を救いたいという熱い想いを聞いた正弘(山本學)は、300年続いた自身の田んぼを、「アルファ1」の実験農場として貸し出すことを決意する。その甲斐もあって、より精度の高い走行テストができるようになり、佃たちは製品化を急ぐ。
そして時間はあっという間に過ぎ、首相視察のデモンストレーションイベント当日。佃製作所のメンバーはじめ、前回のリベンジに燃える的場(神田正輝)は首相の到着を待つが、なかなか現れず、到着が大幅に遅れてしまう。それにより、首相は敵方のダーウィンのデモを見たら帰ると言い、反論する的場や財前だったが・・・。
果たして再対決の勝負の行方は・・・!?
引用元:日曜劇場 下町ロケット あらすじ
気になる言葉
無人農業ロボットになぜ、運転席がついている?
この言葉は、殿村のお父さんがいいました。
答えは、作中であったように、
- 人による緊急対応
- 公道対応
です。
これは、自動運転技術車などと同じですね。
いずれは、上記問題は解決されることとなるでしょう。
しかし、運転席がなくなると、人が乗ることを必要としないので、
最適な形がどうなるのか今はちょっと想像がつきませんね。
下請けでもいいものを作ります!
これは、島津が的場に対していった言葉でした。
この主張は、当たり前と思われるかもしれません。
しかし、大企業に比べて資源の少ない中小企業にとっては、より存在価値に直結すると思います。
このような主張が、日本中で尊重されたらいいですね。
中小企業をいじめないでくださいよ!
視察しにきた首相が言った言葉でした。
週刊誌に記載された的場の所業を意識して、発せられた言葉だったのだと思います。
この言葉、首相が発言したことで、アルファ1の印象をかなり悪いものにしましたね。
このため、一国の首相なのだから、ぜひ、帝国重工側にいる佃製作所の存在も認めてほしいと、思ってしまいました。(実際の首相が、一企業を非難するような発言したら、大変なことになるでしょうね・・・)
なお、首相は、アルファ1を見向きもせずに帰りました。
一応なんらか、佃製作所の出番を期待したのですが、何もなかったですね。
ダーウィンがエンストするなりの失敗を期待していたのですが・・・・
世の中の人が勝手に評価してくれる
首相が帰った後に、アルファ1のデモが行われました。
そのあとに、軽部が「やらないほうがよかったかも・・・・」と発言した後に、佃社長がこの言葉を言いました。
デモ対決でダーウィンの15分30秒に対してアルファ1の12分41秒と、アルファ1の性能が勝りみごとでした。
この結果は公表されませんでしたが、このような成果を(泥臭く)積み上げることで、世の中の人が勝手に評価してくれることになるのだと思います。
必ずしも、自分にタイミングよく、成果が認められるわけではないので、
技術開発に限らず、過度の期待はせずに、いろいろなことに対して泥臭い積み上げをしていきたいものです。
負け犬
この言葉は、的場が重田と伊丹と会話した際に、的場が言った言葉でした。
それに対して、重田は
「地獄を見た負け犬は、一度噛みついたら2度と離さない!」
と言い返していました。
怖いやり取りでした。
お互いに、悪い人たちの会話だったので、このようなやり取りはあまり後味が良いものではありませんでしたね。
負け馬
これは、首相に対してのデモが終了した後に、格納庫で伊丹が島津に言った言葉でした。
島津は、ダーウィンのトランスミッションの不具合を感じとり、それを気にして、伊丹に、「あれを売るのか?」といった主旨のことを言いました。
これに対して、伊丹は、「設計は島ちゃんだけど、(知財は)うちにある」と言っていました。
まさに、伊丹は、島津の言うように「何もわかっていなかった」のでした。
伊丹は、島津に捨て台詞のように「負け馬に乗ったんだ」といっていましたが、後日、「負け馬」に乗ったのは誰かははっきりするのだと思います。
島津には、ぜひ佃製作所で、過去の恨みや憎しみにとらわれない希望にあふれる未来を作ってもらいたいですね。
(最終回なので、次の特番で明らかになるのでしょうかね・・・ぜひ見たいですね)
なお、特許について整理すると以下のようになっているようです。
- ダーウィンのトランスミッションの発明者は島津
- 特許はギヤゴーストに譲渡して、ギヤゴーストは勝手に製品販売可能
- 島津自体に権利がなく、勝手に販売できないかもしれない
佃プライド
第7話でも佃プライドが出ましたが、今回も取り上げてみます。
佃社長が、殿村との会話で
「やってもやってもうまくいかない。・・・
ただみんないい目をしている!
必ず達成できる!必ず間に合わせる!」
と言っていました。
これを聞いた殿村は、
「佃製作所は、佃プライドのために最高の仕事をしている。」
と、咲子(自分の妻)に言って、自分が佃製作所に対して手伝えることがないことに対するもどかしさを表していました。
これに対して、咲子は、
「世界一おいしいお米を作る。それがあなたなりの佃プライドじゃないの?」
と、伝えていました。
この、夫婦で支え合う様子がとてもよかったですね。
困難があっても解決方法を見出し、必ず間に合わせる(約束を守る)こと、
それが佃プライドなんだろうと思います。
いい技術者とは
利菜(佃社長の娘)が佃社長に届け物をした際に、島津と話をしました。
その際に、島津は、佃社長から、異音の原因を追究する際に、
「いいものを作るように、徹底的に泥臭くやってみる」
ように言われたことを思い出し、
「いい技術者は、物を相手にすることではなく、人の心を相手にすること、
それで前よりいい技術者となったこと、
泥臭くやることが大切であること、
利菜にもかけがえのない出会いが必ずあること、」
を伝えました。
開発だけではありませんが、「泥臭く」やることは大切ですね。
ちなみに、異音であると認識するには、異音の豊富な経験がないと不可能です。
だから、異音に気づいていたのは、島津だけで、佃社長も聞こえずわからなかったのです。
なお、この場面は、最終回らしく、すっきりした気持ちの良い場面でした。
よし、残業だ!
アルファ1のエンストの原因を探るうちに、島津率いるトランスミッションチームは歯車の耐衝撃性が足りないことを突き止めました。
帝国重工が設定した性能評価の日時まで、時間がないなかで、佃社長は、
「今回だって必ず答えがある」
と伝え、他のチームも自ら申し出て一緒に改善を手伝うことになりました。
その際に、あの定時に帰る軽部が嬉しそうに言った言葉でした。
作中では、まさに、佃チームが1つになったことを象徴する言葉でした(ほっこりしましたね)。
あ、もちろん、残業を推奨しているわけではありません。
できるだけ定時に帰るようにしましょう(笑)。
性能評価
藤間社長の判断
役員会で、的場は、発売時期の3か月前倒しを、自社製のエンジンとトランスミッションとで実現することを提案しました。
これを受けて、藤間社長は、帝国重工のものと佃製作所のものとの比較をすること提案しました。
これは、アグリジャパンの失敗を利用した、藤間社長のうまい采配でした。
発想の転換
島津の聞いた異音の原因が、歯車の耐衝撃性の低さであったことで、その歯車の耐衝撃性を5万回から10万回にすることに挑戦しました。
あんな短時間で、改善はほとんど無理だったはずでした。
しかし、歯車の改善だけにこだわるのではなく、歯車の回転を支えるシャフトに目を向けたことで、見事に目標を達成しました。
すばらしい発想の転換でした。
ただ、作中でも、歯車の改良を徹底的にやり尽くすことがあって、このような発想の転換ができたのですね。
つまり、作中の島津はシャフトの構造変更による「別の不具合発生の可能性」を感じたものの、「やるしかない」状況となったので実現できたのです。
モータ技研による評価
藤間社長は、帝国重工と佃製作所とを比較するのに、第三者であるモータ技研に評価を依頼しました。
このモータ技研の評価は胸のすくような結果でした。
ただ疑問なのは、帝国重工もこのようなトランスミッションの企業を知っていながら、今までこの企業に開発協力を依頼していないことです。
協力依頼をしていれば、帝国重工内でのキー要素の内製化は加速すると思うのですが・・・・
特許申請する!
遅い(笑)!
もっと早くしましょう、佃社長!
モータ技研に評価依頼する時点で、シャフトの軸受け構造をすべり軸受けに変更して、その効果を確認できていたのです。
モータ技研とは秘密保持契約が交わされていると思いますが、できれば、第三者のモータ技研にサンプルを出す前に、特許申請をしましょう!
遅くとも、バイク便を待っている間がもったいないので、その時間に弁理士と相談しておきましょう!
実務としては、もし公開試験などでみんながこの発明をわかってしまっても(公知といいます)、その公知の日から1年以内に出願すれば、権利化の可能性はあります。
しかし、他社がその間に独自に同じものを独自に開発して特許出願してしまうと、佃製作所では権利化できません。
更には、外国(国によりますが)へ出願して権利化しようとしても、不利な扱いを受けることがあります。
なお、今後は、アジアへの進出もあると思われます。
今後はお気を付けてください(笑)。
特許申請の内容
以下の概要になると考えます。
- 構造
無人農業ロボット用のトランスミッション
歯車(たぶん、単純遊星ギヤ)を回転可能に支持するシャフトの軸受け構造
滑り軸受け - 効果
従来の軸受けに比べて、高耐久性、低振動、低騒音
ランドクロウ
これは、是非、商標出願を行ってください(笑)。
ただ、帝国重工単体(こちらの可能性が高いと思われます)となるか、帝国重工と佃製作所との共同となるかのいずれかになると思います。
とりあえず、佃製作所は損をしないよう契約には十分気を付けてください。
ちなみに、ランドクロウの意味は陸のカラスという感じでしょうか?
人工衛星ヤタガラスとのコンビということで、名前が面白いと思います。
是非、ランドクロウには、佃チームの夢を乗せて走り続けてもらいたいと思います。
そして、是非日本の農業を救ってほしいと切に願っています(農家の息子より)。
まとめ
今回は、以下の気になる点について、個人的な経験と知識とから書かせていただきました。
- 気になる言葉
無人農業ロボットになぜ、運転席がついている?
下請けでもいいものを作ります!
中小企業をいじめないでくださいよ!
世の中の人が勝手に評価してくれる
負け犬
負け馬
佃プライド
いい技術者とは
よし残業だ! - 性能評価
藤間社長の判断
発想の転換
モータ技研による評価 - 特許申請する!
遅い(笑)!
特許申請の内容
ランドクロウ
ついに下町ロケット、最終話となりました。
悪人一掃とはなりませんでしたが、佃製作所は新たな一歩を踏み出せ、とてもよかったです。
これで、下町ロケット(ゴースト、ヤタガラス)の11話のブログ完結です。
お付き合いいただき、本当にありがとうございました。
今後は、佃チームを影なら応援していきたいと思います。
と、思った矢先、来年1月2日、特番ですね(笑)。
その際には、また、下町ロケットのブログを投稿したいと思います。
もし、わからない部分や疑問点などありましたら、ぜひコメントまたはお問い合わせください。
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