弁理士(特許の専門家)の須藤が、個人的な独断に基づき、以下感想などをお伝えします。
今回は特に佃製作所が首を絞められるような状況が何度か続きました。
そのなかでも、佃社長の行動はすごく立派でしたね。
そして、その行動に共鳴した野木教授の帝国重工の奥沢とのやり取り、大変スカッとしました。
そこで、今回は、
- 素朴な疑問や言葉
- プライドと信念
- 下町トラクタ?!
について、説明あるいは記載し、下町ロケットの魅力に迫りたいと思います!
あらすじ
TBSのサイトに記載されている内容をそのまま、以下に記載します。
ある日、財前(吉川晃司)が佃製作所を訪れた。佃(阿部寛)らは笑顔で迎え、試作中のトランスミッションの説明をする。しかし、そこで財前が告げたのは、突然の取引中止だった。聞けば、帝国重工の次期社長候補と目される的場(神田正輝)により、エンジンとトランスミッションの内製化の方針が急きょ決定したという。長年取引のあったヤマタニに仁義を通し、社運を賭けた挑戦だっただけに、佃をはじめ社員たちも抗議するが、板挟みの財前にはどうすることもできない。さらに財前は、こんな状況でさらに厚かましいお願いをしなければならないと切り出した。それは、佃製作所が離脱するならプロジェクトを降りると言う野木(森崎博之)を説得してほしいというものだった。
自分たちは梯子を外され、そのうえ親友・野木の説得と、さすがに虫がよすぎると激昂する佃だったが……。
引用元:日曜劇場 下町ロケット あらすじ
素朴な疑問や言葉
帝国重工はエンジンバルブを佃製作所に内緒で内製化できる?
できます。
以前に記載しましたが、佃製作所のエンジンバルブは、法的には帝国重工のしばりのない自社製品と考えられるからです。
このため、佃製作所の有する特許やこれから佃製作所から出てくるノウハウの使用などを確実に回避しておけば、法的に佃製作から文句を言われる可能性は低くなると考えます。
このためもあり、佃社長の娘である佃利菜は、家で仕事の話をしない!と宣言したようです。
もっとも、お父さんとの関係を悪くしたくないとの想いが主であったとは思います・・・
殿村のお父さんの「ほっとけ!」
殿村のお父さん、立派ですね。
この言葉に、殿村親子の仕事への真摯な姿勢が表れているように思いました。
米の販売場所の変更やごみの放置などの農業法人や農林協からの嫌がらせを受けても、自分達ができること(いい米を作ること)に集中しようという姿は素晴らしいです。
気持ちを惑わす事があっても、本来的な目的に戻って考えること、事業だけでなく、特許の分野でもとても参考になります。
安い値段でのセット販売
ここでは、佃製作所がエンジンだけでなく、トランスミッションと合わせて、一旦は、売り込みに成功しました。
作中でもあったように、エンジンとトランスミッションの2つをセットとすることで、値段を安くしたのです。
佃製作所としては、トランスミッションメーカになりたい!と思っていたので、まずはトランスミッションを世に出してトランスミッションの技術レベルを上げていきたいと思っていたようです。
この作戦も、ありか?とも思いました。
しかし、一旦安い値段で販売すると、その安い値段が実績となり、独り歩きすることがあります。
このため、正直、元営業マンでもあった私から言わせてもらうと、この販売がなくなってよかったかも知れないとも思いました。
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やはり、ギアゴーストの氷室の能力は高いようですね。
トランスミッションの性能の差で、佃製作所の受注がギアゴーストとダイダロスに奪われたのですから。
今後の島津元副社長の再登場?に期待がかかります。
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売上がないのは、本当に困るのではありますが・・・
野木教授は、佃製作所と共同開発しながら、帝国重工との共同開発ができるの?
この場合、可能です。
帝国重工は、究極的には、野木教授の無人ロボットを制御する制御コードさえもらえればいいのです。
このため、野木教授から特別に帝国重工に開発費用などを要求しなければ、野木教授の機嫌を取って制御コードを使用できるようになるための費用しか払わないのではないでしょうか。
そして、契約もそれをカバーする程度にしか抑えていないと思われます。
即ち、制御コードを改良することを目的としたトラクタのエンジンやトランスミッションの開発については、野木教授が要望しなければ、帝国重工と別に、佃製作所と行うことが可能と思われます。
実際には、いろいろ縛りがでて、簡単に可能!とは言い切れない問題となります・・・
イーシーユー
イーシーユーは、電子制御ユニット(electronic control unit)の略で、主に自動車などの乗り物の電子制御を行う装置をいいます。
車を制御するコンピュータです。
作中の会話で説明を聞いたことはないのですが、ヤタガラスという人工衛星からの信号を処理して、無人農業ロボットの動きを制御したりする部分です。
余談ですが、佃製作所のエンジンとトランスミッションの開発スピートは相変わらず恐ろしく速いです。
この回の作中で、野木教授に納品でき、その評価結果を得られているのですから。
プライドと信念
冒頭に、佃社長は財前から、エンジンとトランスミッションは、内製化するから、取引は中止と言われました。
しかも、財前からは、佃製作所が参加しないならプロジェクトを降りると言っている野木教授の説得まで、お願いされまたした。
当然、佃社長はものすごく怒り、「プライドがあるから」と、断りました。
私も、佃社長の判断は当たり前で、財前は図々しいにもほどがあると思いました。
しかも、新社長の的場からの命令だからって、いくらなんでもその態度はないだろう!いくじなし!と私も言ってやりたかったです・・・
しかし、佃社長は、殿村との電話で、財前の「日本の農業を何とかしていく!」という硬い信念に触れたのでしょう。
だから、財前は、的場社長の言葉をそのまま実行してるようでも、実際には、その信念のために自分がどう思われてもあきらめない!という強い気持ちで臨んでいると、佃社長は感じたのだと思いました。
それから、佃社長は、財前を信じて、野木教授のプロジェクト残留の説得をしたのですね。
そして、佃社長は、財前に再び会った際に、以下のような趣旨で話をしました。
「的場社長のやり方とはいっても、今回帝国重工に認められなかった結果が全て。負けは負け。
ただこのままでは終わりません。必ず、追いついて見せます。それが、佃のプライドです。」と・・・
佃製作所の社内に、「ロケット品質」の看板と「佃プライド」の看板があります。
「佃プライド」が今までは何を示すのか?と思っていました。
今回の件で、わかったような気がしました・・・
私も、負けは客観的に認めても、必ず追いつく!という気持ちで、何事にも望みたいと思います。
下町トラクタ?!
下町トラクタというネーミングがダイダロス側についたことは、ただただ、大変残念です。
帝国重工の無人農業ロボットアルファ1のプレスリリースに対して、同時期に、ダイダロスが下町の中小企業が結集して無人農業ロボットダーウィンを開発するということを発表しました。
即ち、ダイダロス側が、「下町トラクタ」で大企業に挑むという形をつくりました。
これは、プレスリリースの時期が漏れたことが原因です。
しかし、キーシンが不正なことを働いたわけではなく、帝国重工のおごりや脇の甘さが原因でした。
帝国重工の中小企業を軽んじる態度(当然に、下請法に抵触すると思われます)に対するしっぺ返しで当然の報いともいえますが、巻き込まれる佃製作所はたまったものではないですね。
野木教授が言っていたように、帝国重工は少なくとも言葉の通じる人を窓口としてその人からの意見を真摯に反映できるように努めることから、対応してもらいたいと思います。
まとめ
今回は、以下の気になる点について、個人的な経験と知識とから書かせていただきました。
- 素朴な疑問や言葉
帝国重工はエンジンバルブを佃製作所に内緒で内製化できる?
殿村のお父さんの「ほっとけ!」
安い値段でのセット販売
野木教授は、佃製作所と共同開発しながら、帝国重工との共同開発ができるの?
イーシーユー - プライドと信念
- 下町トラクタ?!
今回は表面的に力強さを見せていない財前の強さがありました。
また、野木教授は、自分の信念に基づく帝国重工との付き合い方を決めることができました。
次回の佃製作所の逆襲に、大いに期待できそうです。
もし、わからない部分や疑問点などありましたら、ぜひコメントまたはお問い合わせください。
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