Apple社の商品事例から学べる、売れるネーミングの観点

アップル社の製品に学ぶ、売れるネーミングの観点

【スタッフ視点の知財ブログ(2)】

ヒット商品につながるネーミングの王道があったら知りたいと思いませんか?
勿論、ぜひ知りたいですよね。

そういった意味では、「iPhone」などの商品を有するApple社のネーミングの事例は大変参考になります。
でも、Apple社のどういったところに注目すべきかわかりますか?

そこで今回は、
すでに「iPhone」ユーザーでもある、スタッフTさんに、Apple社の別の製品を購入しに行った際の感想を報告してもらい、
それに基づいて、売れるネーミングの法則を知りたい方に対して、商標権の観点を交えてApple社のネーミングの注目すべきポイントを説明していきます。
同時に、商標調査の方法も説明します。

これを読むことで、

  • 売れるネーミングの法則
  • いいネーミングを権利化する手法

が理解できるようになります。
これらのことが理解できるようになることで、売れるネーミングを取得できるコツを理解できます。
同時に、簡易的に商標調査を行うことも可能となります。

少しでも知財の力を活用していただければ幸いです。

Apple社の「iPad」のネーミングのヒミツ

スタッフTさんスタッフTです。
先週末は、消費税が増税する前に、
と思い切って家電量販店にタブレット端末を買いに行きました。

初めて入ったタブレットコーナーには、メーカーも機能もサイズも様々な薄い板がいっぱい!
その中でもお目当てのタブレットは、米国Apple社のタブレット、「iPad」です!

今年の3月に新製品が出てから、数ヶ月。
少しは売り場も空いているかと期待したのですが、休日の売り場は相変わらずの盛況のようで。
Apple社製品の根強い人気が伺えます。

店員さんの手が空くのを、根気強く待って、待って漸く入手した「iPad」。
この薄い板たった一枚の中にも、沢山の特許や意匠、そしてリンゴマークの商標…
知的財産が山のように詰まっていると思うと、特許事務所のスタッフとしては非常に感心しきりです。

ところでこの「iPad」という名前、実はかのApple社よりも先に、
日本の企業が商標出願していたことをご存知でしょうか?

後に両社の合意のもと、「iPad」という商標は無事Apple社に譲渡されたそうですが、
一つ間違えば「iPad」は「iPad」というネーミングで販売することができなくなっていたかも…!?

そう考えると、ネーミングを商標としてきっちり出願しておくことの大切さや、
商品の販売前に同じネーミングを使っている人がいないか…
商標調査することの大切さなどなど。
知財管理の大切さを改めて実感させられました。

売れるネーミングのポイントと商標調査の手順の説明

Apple社の「iPod」、「iPhone」、「iPad」のネーミングの法則

弁理士須藤

弁理士須藤:なるほど、そのいきさつは知らなかったよ。
面白い話だね。・・・・
ところで、どうしてApple社は、「iPad」の商標を手に入れたかったのかな?

スタッフTさんスタッフT:多分ですが、「iPad」の前に、「iPhone」の商標出願して商品を販売していたので、名前の整合をとるため、「iPad」の商標を使用したかったのでしょうかね

弁理士須藤弁理士須藤:うん、そうだね。
整合、つまり、「iPhone」と「iPad」とは、
最初の文字が同じで、そのあとに、商品の普通名称がついていて、
統一感があるよね。
しかも、そのまえに、Apple社の「iPod」は2001年発売(同年日本に商標出願)し、爆発的に売れたよね。
このため、それほど宣伝しなくても、ユーザーは先の商標「iPod」、「iPhone」と似たような感じの商標「iPad」の商品が来ると、自然とその商品が誰のものかが容易に推定できそうだよね。

スタッフTさんスタッフT:やはり、最初に爆発的に売れると、そのネーミングの影響がのちの商品に大きく響いてくるのですね。

Apple社のロゴとファン

弁理士須藤弁理士須藤:それに、Apple社は、それより以前からパーソナルコンピュータでも話題をさらっていたから、世間の注目度はかなり大きかったこともあるよね。
もちろん、Apple社の商品コンセプトには素晴らしいものがあり、それが如実に表れているのが、その名前だよね。
コンピュータに「APPLE」(1987年日本に商標出願)だなんて、通常の人は考えないよね。

ちなみに、アダムとイブはリンゴをかじることで、知恵をもったよね。
そこで、Apple社のロゴマークは、知恵を与えるリンゴとして、かじったリンゴになっているらしいんだよね。
しかも、かじる(bite)なので、デジタルデータの単位byteともかけているようだよ。

スタッフTさんスタッフT:そうなんですか。
Apple社って、面白いですね。
・・・

ほかにもなんか関連性のあるものはあるのですか?

「iPad」以前のタブレット型のPCは・・・

弁理士須藤弁理士須藤:「iPad」はタブレット型のPCだけれど、実はそれよりも以前に、Apple社はタブレット型のPCを発売したことがあるんだよね。
その名前がなんだかわかるかな?

ヒントは、
リンゴ、
落下、
・・

スタッフTさんスタッフT:あっ!
わかりました!
「NEWTON」ですよね?

弁理士須藤弁理士須藤:その通り!鋭いね!
「NEWTON」(1992年日本に商標出願)は、1993年から1998年まで発売されたんだよね。
このころは、通信インフラが脆弱であったり、デバイス自体があまり携帯するにはかなり厚みもあって、それほどは売れなかったけど、かなりの話題にはなったかな。

スタッフTさんスタッフT:「NEWTON」も、リンゴ知恵という関連性を持っていて、とても面白いですね!
ますますApple社のファンになりそう!

先願主義と特許情報プラットフォーム(J-Plat-Pat)による商標調査の手順について

弁理士須藤弁理士須藤:それから、Tさんも報告しているけど、今回の話のなかで大切なことがあるよね。
まず、1つ目:商標(特許や意匠も同様)は、先に出願した人が権利をとれるんだよね(先願主義)。
今回だと、「iPad」はシンプルだし、名前から商品も容易に想像できる。
そのような商標は、だれでも考えられるし、使用したい人(企業)も多数存在する。

スタッフTさんスタッフT:だから、使用したい人は、なるべく早く商標調査すべき。
これが2つ目ですよね。
調査するには、特許庁の特許情報プラットフォーム(J-Plat-Pat)
https://www.j-platpat.inpit.go.jp)を利用するのですよね。

弁理士須藤弁理士須藤:そう、その通りだね。
例えば、上記urlをクリックすると、以下の画面が出てくる。

 

ここで、赤丸のつけた「商標」タブを押すと、次のようにプルダウンメニューが出てくるね。
商標プルダウンメニュー

このとき、「商標検索」のページをクリックすると次のようなページが出てくる。

商標検索ページ

この画面で、
「称呼(検索文字列検索)」で、ネーミングのカタカナ読みを代入し、「検索」ボタンを押せば、簡単なのものであれば、商標の簡易調査ができる。

例えば、以下のように「アイパッド」を入力し、「検索」ボタンを押すと、

商標の読みを入力

以下のような検索結果一覧が得られる。そして、以下の赤丸の番号をクリックすると、

検索商標一覧

具体的に、以下に示すようにApple 社の商標の内容を確認することができる。

Apple社の商標

スタッフTさんスタッフT:この結果を見て、使用したい商標と同じものや類似しているものがなければ、できるだけ早く出願の行動をすること。
これが3つ目ですね。

弁理士須藤弁理士須藤:そのとおり。
Tさんも述べているように、先のApple社は「iPad」について、商標を先に出願できなかった。
しかも、Apple社は、その前の「iPhone」についても、日本のアイホン株式会社からの使用許諾を受けていて、やはり商標を先に出願できなかったんだよね。

Apple社は、幸いにも「iPhone」と「iPad」について、使用をすることができたけど、必ずしもこのようにうまく事が運ぶわけじゃない。
だから、本当に、思いついたネーミングは、なるべく早く出願することが大切なんだよ。
・・・
まあ、ネーミングを思いついた時点で、特許事務所側で出願を急がしただけでは、どうにもならないことが多いかもしれない。
でも、せめて、お客様が一旦出すと決めた案件について、事務所としては、しっかり出願を促してあげたいね!

まとめ

  1. 売れるネーミングの法則として、
    シンプルであり、意味が分かりやすいこと。
    事業体の名称や他の商品との一体感、統一感、ストーリーがあること。
    これらにより、ファンを増やしていくようにすること。
  2. いいネーミングを権利化するには
    先願主義であることに注意すること。
    思いついたら、なるべく早く商標調査をすること。
    同じものや類似のものがなければ、なるべく早く出願の行動をすること。

もし、わからない部分や疑問点などありましたら、お気軽にぜひコメントまたはお問い合わせくださいね。

なお、「APPLE」,「NEWTON」,「iPod」,「iPhone」,「IPHONE」,「iPad」は、Apple社(アップル インコーポレイテッド)の登録商標です(順に、登録番号1758671,4242799,4604351,5147917,5125678,5313094)。

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